人事・労務に関するあれこれ

人事・採用・労務に関することや仕事について、趣味のサーフィンのことなどを思いつきで書いてます

社員が妊娠したとき人事担当として気をつけること

来年1月から育児休業法・男女雇用機会均等法が改正になり、マタハラ等を防止する措置が事業主に義務付けされるようになります。

 

マタハラとは

マタニティハラスメントの略。職場において妊娠や出産者に対して行われる嫌がらせを指す言葉。

 

私は5年前に初めて、社員の妊娠~職場復帰までを対応し、現在までに10名弱の社員が産休育休制度を使用しています。

女性社員数が80名程度なので割合としてはそこそこ多いのかな?

幸いにして今のところ、マタハラに関する相談はまだ受けていません。

まだまだ制度として課題はいくつかありますが、私が気をつけている妊娠~職場復帰までのポイントをいくつかまとめてみました。

 

妊娠報告をもらったら心から祝福の気持ちを伝えよう

妊娠した社員は

「妊娠の事実を上司に報告したら何て言われるのだろう」

と不安になる一方、

「祝ってもらえたら嬉しいな♪」

とも考えます。

家族や友人であれば、妊娠報告を聞いたら真っ先に祝福の気持ちを伝えますよね。

家族や友人にはできるのに部下となると、とたんにできない方がいます。

何故なら報告を聞いた瞬間、

「えっ、、ってことは人員体制とか仕事の役割分担とか変えなきゃいけないってこと?」

「っていうか、妊娠した部下って初めてなんだけど、どう対応したらいいの?」

「変な対応して流産にでもなったら、訴えられちゃう??」

といった不安で頭がいっぱいになっているからです。

コレではダメです。

実際に妊娠した社員から

「○○さん(直属上司)は私に興味がないんだと思います。」

と 相談を受けたことがあります。

その後2人で話し合ってもらい解決しましたが。

まず、妊娠の報告をもらったら

「おめでとう!!!!」

いったん仕事の事は忘れて、祝ってあげましょう♪

上司が喜んでくれると、部下も安心しますよ。

対応は病院からの連絡カードをフル活用しよう

妊娠中の対応はどうすれば良いか。

妊娠中の体調は十人十色です。

全く普段と変わらないような人から、体調不良が続いてしまう人もいます。

「前の人がこうだったから」

という前例は通用しません。

そこで登場するのが、

「母性健康管理指導事項連絡カード」です。

簡単に言うと、どんな対応をすれば良いのか病院が教えてくれます。

私は妊娠した社員と話をする時、

「無事に赤ちゃんが生まれてくるよう最大限、会社としても対応していきたいと考えてる」

「でも妊娠中の体調はそれぞれ違うから決まったパターンが存在しない」

「だから何かあったら必ず医者に相談してこの紙を書いてもらうようにして欲しい」

「どんな小さなことでも構わない」

「この紙さえあれば、会社もすぐに動けるから」

「今までみんな、この紙を出してもらってるから」

と伝えて用紙を渡しています。

大事なのは、病院が書いた内容は必ず守ること。

今まで前例が無かったとしても、です。

必要書類・産休開始日・職場復帰予定日は初めに伝えておく

  • どんな流れで進むのか
  • どんな手続きが必要なのか

妊娠した社員と初めてのミーティング時に全て伝えましょう。

できれば書面で渡してあげた方が社員にとっても確認しやすいのでフォーマットを作っておきましょう。

私が書面で確認している項目は、

  • 氏名変更の有無
  • 引越し予定の有無
  • 連絡先
  • 直接支払制度の病院かどうか
  • 子供の健康保険は夫婦どちらの扶養にするか
  • 産休開始日
  • 産休終了予定日
  • 育休開始日
  • 育休終了予定日
  • 最終支給給与日
  • 住民税の取り扱い
  • 社会保険料の取り扱い
  • 年末調整の取り扱い
  • 休業開始時賃金証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票
  • 母子手帳コピー
  • 出産手当金申請書
  • 出産手当金額(だいたいの額)
  • 育児休業給付金額(だいたいの額)
  • 休業延長申請必要書類内容

最初は本人も100%理解していませんが構いません。

いざ必要になった時、

「あの時言われていたのは、このことだったのか!」

と納得してもらえればOKです。

職場復帰日は変更になることもありますが、復帰までの流れを伝える中では必要ですので項目に入れています。

産休・育休中は定期的に連絡を取る

私は出産手当金申請書提出時と、育休申請書類のタイミング(2ヵ月に1回)に合わせて連絡を取っています。

「子育てはどう?」

「体調壊してない?」

「最近会社ではこんなことがあったよ」

「保育園はどう?決まりそう?」

といった内容を簡単に聞いています。

休んでいても忘れてないですよ、という意思表示になっているのかなぁと思います。

復帰近くなったら一度会社に来てもらう

この時、子供は預けてもらって1人で来てもらうようにしています。

本格復帰の前に仕事と育児の切替を体験してもらいたいからです。

集中して話もできますしね。

会社に託児所があればベストですが、まだそこまでできていないので社員に協力してもらってます。

ここでは

  • 復帰可能日予定
  • 保育園送迎時間
  • 勤務時間の相談
  • 復帰後の給与額

などを話しています。

勤務時間は、保育園送迎時間から逆算して決めています。

「時短勤務は○時間」と決めたところで、合わない社員が出てきますからね。

子供の体調不良は起こるものとして考える

特に小さい子供の場合、保育園から連絡が来ることはしょっちゅうあります。

急に出勤できなくなることもあります。

子供が急に体調不良になるのは当然なんです。

だから、相談があった時は二つ返事で回答してあげましょう。

それに対して不満を言う方が可笑しいです。

だって自分達もそうやって育ってきたんですから。

復帰する職場の周囲の人たちに伝えています。

でも、

社員は「休むことが当然の権利」と思ってはいけません。

仕事は待ってくれないので、残った社員で何とかするしかありません。

仕方ないことなのですが、他の社員に負担を掛けたこともまた事実なのです。

「この前休んだ時助けてくれたから、今日は私が頑張るよ!」

と周りの社員を気遣うことを忘れないようにしましょう。

まとめ

大事なのは、1人の人間としてどんな行動を取ればいいのか、を考えることだと思います。

「子供ができてよかったね!」

という感情や

「どうしたら仕事と育児が両立できるかな?」

という思いやりを持って行動していけば、進むべき道が見えてくるのかなと思います。